伊坂幸太郎さん。
好きな作家はと聞かれたら
真っ先に名前を挙げるのがこの方です。
夜の国のクーパー
今までの伊坂作品の中でダントツ好きなお話です。
帯にも書いてあるけど
「これは猫と戦争、そして何より世界の秘密についてのおはなし」
そう 猫が出てくるのです、
しかもこの猫はトム君といって
人間の言葉を理解出来るんですねぇ。
苦手とするファンタジーなのだけど
猫が出てきたからすらすら読めた。
これが違う動物であったら、最初でつまずいて
最後まで読めなかったかも知れない。
猫とねずみ、小国と大国、弱いものと強いもの
善人と悪人。
何が正しくて、どうすればいいのかは
結局のところ、自分で考えるしかないのかも知れないですね。
それにしてもこの猫のトム君。
可愛いんです すっごく。
読みながらどんどんこのトム君に感情移入してしまって
思わず自分の猫に話しかけてみる。
「今読んでる本にトム君っていう猫が
出てくるんだけど、人間の言葉を理解するんだよね~」
わが猫は当然知らんぷりだ。
だけど・・・時々ちゃんと人間の言葉を
理解しているなぁということがよくあるので
もしかしたら、言葉というより猫の感覚で
猫なりに人間の言葉を理解しようとしてくれているのかも
知れないなぁ。
「何を言ってるんだ。出かけたらちゃんと帰る。
そういうものだろう」
「もし帰れたら。こっちのことも忘れないでくれよな」
「少しずつだよ。すぐに関係はよくならないけれど
少しずつ鼠ともいい関係になれればいいと思っている」
トム君の台詞。
猫が鼠を捕まえるのは猫に言わせたら太古からのしくみ?であって
理由などない そういうものらしいのだけど
鼠に「私たちを追わないで欲しいんです」とお願いされたことによって
出来ないかも知れないけど(本能だから)
努力する と歩み寄る姿勢を持つトム君。
なんだか、こういう風に光を見出すことが
出来るおはなしって好きだな。
ま、現実は猫はやっぱり鼠を
追いかけてるんだけどね。
とにかく、猫好きな私としてはこの作品は
読み終えた後に我が家の愛猫を抱きしめたくなる。
そんな暖かい気持ちになるおはなしでした。