旅するねこ毛

親父のブリーフ

本当は「親父のブルース」と書きたかったのだけど
指が勝手にブリーフとタイピングしたのでこのまま行くことにする。

私の家庭環境が普通じゃないことに
気がついたのは小学校高学年の頃だろうか。
物心ついたときにはすでに母親というものはおらず
親父に育てられた私。

親父はとにかく教育に関心のない人で
独自のスタイルとともに私たちを育て上げた。

幼いときに毎日弁当を持たせてもらっていたのだけど
アルミの弁当箱に中身は白米のみ。
そして、隅っこが少しだけあけてある。
幼い私は聞いた。

「お父さん、どうしておかずがないの?」
「ないからないんだ」
「・・・ふ~ん・・・でもどうしてここはあいてるの?」
「これはな、保育園に行くだろ そしたらみんながこれを
みてかわいそうに思っておかずを分けてくれる。
そのおかずをここに入れてもらってはじめて
おまえの弁当が出来上がるんだ」

会話はあいまいだが、こんな感じのことを親父は言った。
子供心にそれはいけないことなのでは・・・と思っていたのだが
そのまま保育園に行く。すると父の言ったとおりのことがおきたのである。
スゲー!と喜んでいたのもつかの間。
結局先生から注意を受けてしまい、以後どうなったかの記憶はない。

夜になるといつもいなくなって帰ってくるのは夜中だった。
その頃多分アパ家は最高に苦しい状況だったのだと思う。
電話がかかってきたら絶対にとってはいけない、と教えられた。
「ワシからかけるときは、2回鳴らして一回切る。その後もう一回鳴らす
それが合図だ、他の電話は絶対に取るんじゃないぞ」と教えられ
緊張しながら電話の音にビクビクしていたっけ。


家庭訪問のときも見事に何度もすっぽかし
いつ在宅ですかと電話をかけてきた先生に
「人の家が見たかったら勝手に入ってきたらいいじゃないですか
こっちにはこっちの都合がある」と言い放ち困らせていた。

数々のエピソードを残している親父であるが
その中でも笑い話にしないと救われない、と思える話がある。

まず一つは親父が原因で何年か私と姉は別々に暮らしていたことがある。
姉は遠いところで暮らしていると聞いた。
父の元に残った私は姉の不在に疑問を持ちながらまぁそれなりに
暮らしていた。

そんなある日親父が言った。
「しばらく出かけてくるから」
いつも夜になったら出かけていたので、そのときもそんな調子だろうと
さほど気にしていなかった。

すると二日経っても三日経っても帰ってこない。
さすがに食料もお金もない小学生の私は途方に暮れた。
お腹もすいたし、さすがに何日も親がいないというのはどういうことか。

一週間が過ぎた。
私の異常に気がついた担任がたずねる。
「お父さんは」
「どっか行った」
「え!どこへ」
「知らない」
とこんなやりとりがあり、大問題となった。
失踪事件かということで警察に届けるかという話に
展開したのだが、しばらく出かけてくると言葉を
残して出ていったのだから失踪ではない、と
かたくなに拒み、生活費その他は校長先生や担任に
面倒を見てもらった。

しばらくして親父から電話があった。
「おー元気か」

飯食ってるか
お金も何も置かずにいなくなるもんだから
先生が何とかしてくれてる。
いつ帰るの?

まだまだやなー
ほなまた電話するから頑張れや ガチャン☆

翌日担任に、父から電話があり、元気で暮らしていることを
報告すると
「お父さんはどこにいるのだ」と聞いてくる。
肝心の居場所を聞いていないことに気づく。
しかし居場所を聞いたところでいつ戻るのかも
分からないのだから・・・と答えると
先生はため息をつき「お前も大変だなぁ」と
毎晩家に招待してくれて先生の彼女のおいしい手料理を
食べさせてくれた。

そして、ずいぶん日が経った頃に親父は帰宅し
おそろしいことに、小学生の私がお金もないのにどうやって
一人で暮らしていたか、とか全く聞かなかった。
なので私も親父がどこでどうやって暮らしていたのか
聞かなかった。

私が育ったのは九州なのだが・・・
小学6年生の卒業間近に突然、「お前な、転校するから」と
言い渡され私は呆然、友達も学校も大騒ぎであった。
地元の中学校に行くものだと思っていたし、先生だって
そうだ。
あの時はさすがに私も泣いた。
友達と離れたくなかったし、九州の田舎が大好きだったから。
なんで突然関西に・・・誰もいないのに・・・と。

それから私は大人になるわけだが、とにかくお金を貯めた。
一刻も早く親父から離れようという思いで必死でお金を貯めていた。
18歳くらいの頃だったと思う。
たんす貯金をしていた私が帰宅すると部屋があらされていて
たんすに隠してあったお金がなくなっていた。
すぐに親父が犯人だと思い、問い詰めると「知らない」という。
「怒らないから正直に言ってみろ」というと「知らんっていうとるだろ!
空き巣が入ったんと違うんか 警察行けや」ということになったので
そのまま警察に連絡し、数名の警察官が到着。
部屋中にある指紋をとられたり、撮影があったり現場検証のようなものが
あり、けっこうおおごとだった。

指紋を取っていた警察官が「ものすごくハッキリした指紋が
残っているから何とかなるかも」とそのとき言っており
「絶対に捕まえて欲しい」とお願いする。
その後数日が経過し、何の音沙汰もないので警察署へ出向き
そのとき担当した人に「状況はどうなっているか」たずねると
警察官は申し訳なさそうにこう言った。

「お父さんから聞いていないの?困ったなー・・・
出来心でお父さんがやっちゃったみたいですよ」と。

「そんなことないですよ だって部屋あらされてたし
聞いても親父は知らないって」

「泥棒に見せかけようとして荒らしたらしいけど
こんなことになって・・・お父さんも反省してはるから」

そのとき私は怒りで警察官の前で泣きに泣いた。
そんな父を持つ自分が情けなくもなった。

だけど部屋に戻って何事もなかったかのように
している親父をみていると、その事件のことを
口にしてしまった時点で自分に歯止めが利かなくなる、と
自覚していたので、その事件は封印したままだ。

とにかくわが道を行く親父だったわけで
今でこそ笑い話になっているが、そんな親を持つことが
コンプレックスになっていた。

そんな私に友達が言った言葉。

「ホントにアンタの親父さんってイカしてるよね!
めっちゃパンクじゃん。愛すべきバカ親父じゃん。
・・・私アンタの親父さんに感謝してるよ。
あの親父さんが育てたおかげで今のアンタがいるんだもんね。
私子供が生まれたらアンタのような子に育って欲しいって
すごい思うもん」

彼女のおかげで、今までの自分がこれで
良かったのだと思えたし、親父を恨む気持ちが
少し治まったような気がする。

その彼女とは残念ながら諸事情により
会えなくなってしまった。
だけど、いつも覚えている。
どこかで元気に暮らしているだろうと信じながら。

彼女に会いたいという気持ちを親父のエピソードに
あわせ、記録に残しておく。
どうか、このブログを彼女がみつけることがあるならば・・・。
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by tidakapa-apa2006 | 2009-06-15 15:58 | どうでもいいこと | Comments(16)
Commented by tokunosuke23 at 2009-06-15 18:15
事実は小説より奇なりと申しますが、これ事実であれば、短編が1本書けますね。
お見かけしたところかなり文才が、おありになるようですので、伸ばしてみたらいかがですか。
親を反面教師にするところなんざぁ、大いに共感できます。
Commented by のほ at 2009-06-15 19:31 x
せっちゃんファンゆえに、時々のぞかせてもらっていましたが、コメントは初です。

いろんな人生がありますね。
私も、いろんな歩みをしてきています。
一難去ってまた一難、みたいに、少し息をつくとまた、
新しい試練がやってきます。
いま、特に底かな。けど、11月のせっちゃんのライブを楽しみに生きてます!!

御自分を肯定できるきっかけを与えて下さったお友達、
ブログ見ていて下さっているといいですね。
Commented by baik2 at 2009-06-15 19:56
親父ブリーフの中に、“金言”が隠されていたのでしょうか。
Commented by tidakapa-apa2006 at 2009-06-15 20:13
☆tokunosukeさん☆

なかなかおもしろいでしょ?
笑い話として人に話せるようになるまで
長い時間が必要でした。
苦労話みたいなノリって嫌いなんですよねー
でもその友達だけだったんです げらげら笑ってくれたのは。
そうか、面白いことと受け止めたらいいんじゃん!って
そこからですねー親父のブルースをネタにしはじめたのは。
けっこうインパクトある親父なので。
警察ネタはちょっとインパクトありすぎて、警察に申し訳なかったです。
いやはや・・・
Commented by tidakapa-apa2006 at 2009-06-15 20:16
☆のほさん☆

はじめまして!こんばんは。
せっちゃんファンということでよろしくお願いします^^
人生色々ありますね~
人生語るなんてまだまだ早い若輩者ですが、笑いさえあれば
何とかなるような気がします!
そして今までどんなつらいことがあっても最終的に何とかならなかったこと
なんてなかったので(ぎりぎりのところはありましたが)
その経験だけを励みにしています(笑)

ブログ、彼女に届けばいいな、って思っています^^
コメントありがとうございました。
Commented by tidakapa-apa2006 at 2009-06-15 20:17
☆baik2さん☆

親父のブリーフの中には金のタマしか
ありませんでした・・・
Commented by N-pipi-N at 2009-06-16 09:12
 アパさん、おはよ~
 
会うからコメントいっか~って思ってたケド。
アパさんは濃い~人生を送ってきたんやね。何?私の平凡さ・・・
アパ父ちゃん、ちょっと「がばいばあちゃん」を思い出しました。
 
 まず思ったのが「関西に来てくれてありがとう」
Commented by tidakapa-apa2006 at 2009-06-16 20:32
☆pipiちゃん☆

今日は楽しかったずら
色々ありがとね~お土産早速いただいています。
わさびノリからいけどおいしかったワン!
もうすぐお別れと思うと寂しいけど涙は禁物さ!
う~ん 濃い人生かどうかはわかんないんだよな~
普通と少し違う?とは思うけど、でも、それぞれに
やっぱ色んな人生があるからね。
ま、笑い話にして読んでもらえたらそれでいいのさ♪
だって自分の記録の為だから~♪
関西オモロイよね 最高。
Commented by gunungpohon at 2009-06-16 20:40
お友達の言葉を読んで、なんだかじわーんと涙が出てきました。
あったかいですね。
アパさんのことを心から大好きなんだなぁということが
その言葉から伝わってきます。
ホントにイカしてるよ、アパさん!
Commented by tidakapa-apa2006 at 2009-06-16 20:56
☆gunungさん☆

ありがとうございます。
自分で言うのも何ですが、私彼女には本当に愛されて
いたなぁと今でも思うんです。
私もとても大事に思っているし、生きていればいつかは
絶対に会える、と信じて過ごしています。

どこかで元気に暮らしてくれていたらそれでいい、と
思う反面、どうしても会いたいという気持ちを
おさえることができないんですよね~
Commented by carambola at 2009-06-16 21:02
げっ,スゴイオヤジさんだなぁ…
鯔はちょっと笑えないかも(^_^;)
家があっただけよかったけど…
アパさん,無事大きくなって良かったよ(笑)
イカしてるのはオヤジさんじゃなくてアパさんだね( ̄m ̄)
Commented by tidakapa-apa2006 at 2009-06-16 22:57
☆鯔さん☆

あら!笑えないか・・・(笑)
んーこの家庭環境のおかげで
めったなことでは動じることないという
度胸の持ち主になってしまったので
それはそれでよかったのか?と思うことも
あるんだけどねー
Commented by paparapa66 at 2009-06-16 23:26
途中まで読んでて、こちらが書いた内容で
辛いことを思い出させてしまったんなら悪いなーと思ったのですが、
よいお友達が近くにいて良かった。うむ、ホントに。

生きてるといろんなことがあるけど、
お友達が「イカしてる!」って言ったみたいに
言葉一つで同じ世界がガラッと色を変えて見えることがあるよね。

素敵なお友達だし、そういうお友達に出会えたのもアパさんの器量。きっと。
Commented by momokka at 2009-06-16 23:31
アパさん、こんばんは。
私は、父を反面教師で旦那を選んだ口ですが
アパさんのお父さんの方が上を行きました。

学校の先生や、お友達・・・たくさんの人にささえられて
大きくなりはったんやね~。それって他の人に無い財産ですね。
ステキな言葉をくれたお友達に絶対会えますように!
Commented by tidakapa-apa2006 at 2009-06-16 23:33
☆ぱぱらぱさん☆

こんばんは~
いえいえ 当時は確かに辛かったのですが(笑)
大人になった今では笑い話ですよ!
無理にそうするのではなく、ほんとに自然に笑えるようになったのです。
それはやはり時間の流れと彼女のおかげだと思っています。
普通の環境じゃなかったと自覚しているけど、こういう体験もなかなか
しようと思っても出来ることではないし、まぁ出来ればしたくないけど(笑)
経験してしまったものはしょうがないですしね~。
家族には恵まれていなかったですが、幸いなことに他の出会いは
本当に恵まれていたと思うのでそれは私にとってかけがえのないもの。
お気遣いありがとうございます。
嬉しかったです^^
Commented by tidakapa-apa2006 at 2009-06-16 23:38
☆momokkaさん☆

こんばんは^^
そうですか~momokkaさんのお父さまの上を
いってしまいましたか・・・
まぁなかなかいないタイプですからね~あのキャラは。
あの父親のおかげで、色んな人に支えられて、大きくなりました(笑)
若いときは人のありがたみはわかっていても、momokkaさんの
おっしゃるように財産とまでは思えなかったんですよね
ただ毎日を過ごすのに必死で。
でもちゃんとトシを重ねていくとわかってくる。
感じることができる自分でよかったと思ってます。

死ぬまでに絶対に彼女には会いたいです~。
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