悪いことはしていない
・悪いことはしていない /永井するみ
穂波という仕事の出来るOLを中心に すすめられていくお話。 ストーリー自体はさほど魅力ある内容ではないのだけど なんだか引きこまれていく作品ではあった。 とはいえ、結末はちょっと疑問。 タイトルにある「悪いことはしていない」は どういう意味なのだろう? 最後までわからないまま読み終えたのだけれど 要するに穂波にしても他の登場人物にしても 「悪いことはしていない」 けれど、その悪意のなさで 誰かを傷つけたり、うらまれる結果になったりしている ということか。 悪気がないっていうのは、やっぱり簡単には 言ってはいけない言葉だなぁと思う。 それじゃすまされないことを沢山経験してきたし、 自分も悪気のなさで人を悲しませたり 怒らせたりもしてきたから。 鈍感な人間にはなりたくない。 こういう時にもう10年以上も前に 斉藤和義が言っていた なくしたくないものは?「デリカシー」 という答えを思い出す。 ・愛がなんだ /角田光代 再読。 この読書記録は自分の為に書いているのだが ものすごく役だっている。 この本読んだかな・・・と自分のブログ検索で 内容を思い出すことがあったり。 この作品に関しては読書記録をはじめる前に 読んだものだったので感想文を記録していないので 載せておこう。 自分に全く興味がない男に片思いをしているテルコ。 いいように使われているだけなのに 自分の時間をその男のためだけに使い 仕事がおろそかになり、会社をクビになる始末。 それでもテルコはいいのだ その男の役に立つならば。 う~ん 片思いってもう何年もしていないけど・・・ これはどうなんだ? いくら好きな相手でも私は絶対にこんなことしない。 自分の時間は自分のものだし、人生だって 自分のものだ。 とにかく、このテルコという女性には かなりイライラさせられた。 もう! なんで惚れた男が他の女にプレゼントするための チョコレートをわざわざ並んでまで買いに行ってやってるの? なに公共料金の支払い2万もたてかえちゃってるの? ちゃんと請求しろよ! とか怒りながら読んだし、その男にも テメーいい男でも何でもないくせに 調子乗ってんじゃねぇよ!と毒づいていたけども テルコにしてみたら、それすら幸せなのだろう。 ま、いいけどね。 ということでなんだかイライラもやもやの続く作品。 主人公がかなりイラつく女っていうのは もう角田さんの作品では覚悟してるんだけど これはかなりきてたな~・・・ ・いちばん危険なトイレといちばんの星空 /石田ゆうすけ チャリダーで旅作家でもある石田さんが 世界を旅してきた中で独自の判断による 世界一を紹介するもの。 この独断がおもしろい。 石田さんは、エッセイを通してでしか 人柄は分からないけれど、めちゃくちゃ好き。 もうかなり好きです ハッキリ言っていい男です。 旅でこういう人に出会っていたら 絶対好きになっている。 そして一期一会だから・・・ 告白して・・・玉砕していることだろう(爆) この人の作品をはじめて読んだのは 「行かずに死ねるか」なんだけど はて・・・私はどんな感想文を書いているのだろう?と 検索してみたら・・・書いていない! やぎごはんは書いてるのに(しかもさっくりと) 肝心の行かずに死ねるか を書いてないなんて・・・ ってことでせっかくだから・・・ ・行かずに死ねるか! /石田ゆうすけ 旅エッセイは旅している人そのものが 露骨に出るのでめったに読まない。 バリ島とかアジアものは興味があって 少しは読むけれど、波長が合わないものが多いので 結局読まなければよかった・・・ということになり 後悔。 というわけであまり手を出さないジャンル。 だけど石田さんはいい。 長期旅行者の独特なあの空気を感じないし 目線がね、ものすごく人間臭くていい。 モテるだろうなぁ・・・と思う。 この人の旅の記録を読むと 旅に出なくちゃ!という気持ちになる。 出なければならない理由なんて 何ひとつないのだけど、こんなにも 輝いている時間が待ち受けているのに 私はなぜここに?と思ってしまうのである。 そうは言っても、 ひとりで生きているわけではないので なかなか思い立ったら即日 という具合に 旅に出ることは難しい。 そのことをちゃんとわかっているから こういう旅に憧れるのだろう。 色んな人生があるけれど 私は過去にアジアを長期旅行したことが 心の大切な財産になっている。 この先またあのような旅に出ることが あるかどうか分からないけど いつだって旅に出たいという気持ちを 失わずにいたいなぁと思う。 今に不満があるわけではない。 ただ、いろんな国や色んな日本や 色んなものを見たいと思う気持ちって 刺激になるから。 心の活性化ってやつかな?なんとなく。 テキトーに書いてみた(笑)。 ・道の先まで行ってやれ! /石田ゆうすけ これも読んでいたのに感想書いてないことに 気づき・・・ 石田さんの本はおすすめなのでこの機会に 記録しておく。 世界一周と違い、こちらは自転車で日本を 旅する記録なので、海外旅行に興味ない人でも 楽しめる内容じゃないかと。 私はどちらかというと国内はもっと年寄りになってから 楽しめたらよいかと、思っているほうなので 国内の旅エッセイはまず読まない。 だけど石田さんのエッセイときたら 読むっきゃないでしょう。 これがまたオモロイのである。 いいなぁ 石田さんの感性。 食べ物もおいしそうだし。 旅はやっぱり一人に限るなぁ~ 誰かと行くのも楽しいから好きだけど。 広島を一人旅したことを思い出した。 楽しかったな。 ・元職員 /吉田修一 何が元職員なのだろう?と思っていたら 最後の方で明らかになる。 ああ そういうことか。 ネタバレになるので詳細は書きませんが 休暇を取りバンコクに一人旅をしている男の話。 バンコクのざわついた感じとか匂いとか 雰囲気を思い出すことができたので それがちょっと懐かしかった。 もうずいぶん行っていないので私が行った頃より はるかにすごいことになっているのだろうけど。 さくさく読めるので何も考えず読みたいときには おすすめ。 ・もしもし下北沢 /よしもとばなな いやぁこれは・・・ すごい小説だった。 何がすごいってうまく説明できないのだけど。 内容は不倫相手に無理心中をはかられ 死んでしまった(要するに殺された)お父さんの 遺された娘と妻のお話。 傷つき悲しみながら現実を下北沢で 暮らしながら過ごしていく というお話なのだけど。 小説だから、その内容はかなり現実としては 起こりがたい話で(でもそれは私の周りに起こっていないだけで 日々色んな悲しいことや腹立たしいことが、 世界では起こっているのだけど) だから、その内容自体がすごいというわけではなく。 なんだか心の奥深くにある自分でも説明のつかない感情を 掘り起こされてしまった そんな感じ。 泣けて、泣けて、しょうがなかった。 なんなんだろう この感じ。 今でもまだ胸の奥がヒリヒリとしている。 ・サウスポイント /よしもとばなな 運命を感じる物語。 一言で表してしまったが。 ハワイのどんな素晴らしい話を聞いても どんな素敵な風景を見せられても ハワイに行った事も、行きたいとも思ったこともない私だが この小説を読んで、素直に「ハワイへ行ってみたい」と 思った。 もうそれだけで、ものすごい満足感。 とりあえず、ばななさんの作品は 生と死が隣り合わせで、いつでも 命と魂のあり方について、考えさせられている。 今日もこの人の作品に触れることができ、 心を震わせることができたことの 幸せを感じている。
by tidakapa-apa2006
| 2011-08-25 11:14
| 本・雑誌
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